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光で泳ぎのオン・オフに成功! 魚の泳ぎの指令塔となる神経細胞群を発見

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内容

魚は、尾を左右に振ることで、泳ぐことができます。このような尾を左右に振るリズミカルな動きは、人でいう歩行のメカニズムにつながる動物の基本的な作動メカニズムと考えられます。今回、自然科学研究機構生理学研究所(岡崎統合バイオサイエンスセンター)東島眞一准教授は、脊髄の付け根にあたる「後脳」という部分にあるV2aと呼ばれる神経細胞群が、尾を左右に振り泳ぎをコントロールする指令塔になっていることを明らかにしました。V2a神経細胞群に、光に反応する光感受性色素タンパク質を遺伝子発現させたところ、光に応じて、尾を振ったり、止めたり、泳ぎを光でオン・オフさせることに成功しました。米国生物学専門誌カレント・バイオロジー(4月25日電子版)に掲載されます。

研究グループは、ゼブラフィッシュという小型魚の脳の後脳にあるV2aと呼ばれる神経細胞群に注目しました。このV2a神経細胞群に、光に反応して神経細胞を興奮させることができるチャネロドプシンという光感受性色素タンパク質を遺伝子発現させたところ、光をあてることで尾を左右にふり泳ぎ始めました。逆に、同じV2a神経細胞群に、光に反応して神経細胞の働きを抑えることができるアーキロドプシンという別の光感受性色素タンパク質を遺伝子発現させたところ、光をあてることで尾を左右にふるのをやめ、泳ぎが止まりました。以上から、後脳のV2a神経細胞群によって、尾を左右に振り泳ぎのリズムをつくる神経細胞の働きがコントロールされており、V2a神経細胞群が泳ぎの制御に指令塔として必要十分な働きをすることがわかりました。

東島准教授は、「小型魚であるゼブラフィッシュも、人と同じ脊椎動物です。人をはじめとする脊椎動物の脳幹にも同じ種類の神経細胞群があると考えられることから、脊椎動物の歩行などのロコモーションを制御する主要な神経回路の1つが明らかになったと言えるでしょう」と話しています。

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文部科学省科学研究費補助金による支援をうけて行われました。

今回の発見

1.ゼブラフィッシュの後脳のV2a神経細胞群に光感受性色素タンパク質チャネロドプシンを遺伝子発現させ、光によって神経細胞を興奮させると、遊泳行動が起きました。
2.後脳のV2a神経細胞群に光感受性色素タンパク質アーキロトプシンを遺伝子発現させ、光によって神経細胞を抑制させると、遊泳行動が停止しました。

図1 V2a神経細胞群にGFPを遺伝子発現させたゼブラフィッシュ

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V2a神経細胞群にGFPを遺伝子発現させて緑色に光るゼブラフィッシュの頭部の写真。実際には、Chx10プロモーター存在下にGFPを遺伝子発現させました。V2a神経細胞群はこのGFP発現細胞のうち、後脳と脊髄に存在する神経細胞群を指します。本研究では、この中で後脳のV2a神経細胞群に注目しました。

図2 V2a神経細胞群にチヤネルロドプシンを遺伝子発現させた魚

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後脳のV2a神経細胞群に、光を感じて神経細胞を興奮させることができるチャネロドプシンというタンパク質を遺伝子発現させました。この魚の後脳に青色光を照射したところ、光に反応して、止まっていた尾を左右にふりはじめました。

図3 V2a神経細胞群にアーキロドプシンを遺伝子発現させた魚

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後脳のV2a神経細胞群に、光を感じて神経細胞の活動を抑制させるアーキロドプシンというタンパク質を遺伝子発現させました。この魚の後脳に緑色光を照射したところ、光に反応して、左右に振っていた尾が止まりました。

この研究の社会的意義

脊椎動物の脳幹にある神経細胞群がロコモーションに重要な役割をしている
ゼブラフィッシュは哺乳類と同じ脊椎動物であり、脊髄及び後脳の遺伝子発現パターンも進化的に保存されているので、哺乳類でも後脳V2a神経細胞群がロコモーションに不可欠な役割を果たしているであろうと考えられます。今回の研究によって、ヒトをはじめとする脊椎動物の脳幹で、歩行などのロコモーションを制御する主要な神経回路の1つが明らかになったと言えます。

図4 光で泳ぎのオン・オフに成功!

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論文情報

Hindbrain V2a neurons in the excitation of spinal locomotor circuits during zebrafish swimming
Yukiko Kimura, Chie Satou, Shunji Fujioka, Wataru Shoji, Keiko Umeda, Toru Ishizuka, Hiromu Yawo, and Shin-ichi Higashijima
カレント・バイオロジー(Current Biology) 4月25日電子版

お問い合わせ先

<研究に関すること>
自然科学研究機構生理学研究所 (岡崎統合バイオバイオサイエンスセンター) 准教授
東島眞一 (ヒガシジマ シンイチ) 
Tel:0564-59-5255 Fax:0564-59-5259 
E-mail: shigashi@nips.ac.jp

<広報に関すること>
自然科学研究機構生理学研究所 広報展開推進室 准教授
小泉 周 (コイズミ アマネ)
TEL:0564-55-7723 FAX:0564-55-7721 
E-mail:pub-adm@nips.ac.jp


 


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